Nature ハイライト
コロナウイルス:安価なハンセン病薬がSARS-CoV-2に対する広域スペクトルの抗ウイルス薬となる
Nature 593, 7859
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗ウイルス治療は限られており、レムデシビルは臨床で使われている主要な抗ウイルス薬だが、静脈内投与の必要があり、比較的高価である。今回S Chandaたちは、ハンセン病の治療として臨床ですでに使用されている薬クロファジミンが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)や重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)など、複数のコロナウイルスに対して、細胞株やヒト肺組織において抗ウイルス活性を示すことを報告している。クロファジミンは、SARS-CoV-2に感染したハムスターの治療で、レムデシビルと同等の効果があり、これら2剤を併用することで相乗効果が得られた。重要なことに、クロファジミンはコロナウイルスの複製の複数の段階を標的とする。クロファジミンはヒトへの使用が承認されており、安価で経口投与が可能であることから、COVID-19患者の治療に対して有望かつ実用的な選択肢となる。
2021年5月20日号の Nature ハイライト
惑星科学:彗星大気中に存在する鉄とニッケル
惑星科学:彗星2I/ボリソフのコマに見つかった気体状のニッケル原子
化学物理学:極低温化学反応を状態ごとに分解する
化学:酵素を使ってアミドを作る
遺伝学:体細胞変異の正確な検出のためのNanoSeq
コロナウイルス:安価なハンセン病薬がSARS-CoV-2に対する広域スペクトルの抗ウイルス薬となる
コロナウイルス:SARS-CoV-2に対するヒト由来のIgG様二重特異性抗体
生物工学:非ヒト霊長類における塩基編集
細胞生物学:ミトコンドリアの分裂位置が重要
微生物学:結核菌由来VII型分泌装置の完全な構造
分子生物学:顕微鏡で見るテロメア伸長