Nature ハイライト
Cover Story:ギャップを埋める:爬虫類の進化における大きな遷移に光を当てるTaytaluraの頭蓋化石
Nature 597, 7875
表紙は、新たに発見され、Taytalura alcoberiと名付けられた三畳紀のトカゲに似た動物の想像図である。爬虫類の進化を示す化石記録は、鱗竜類、すなわち有鱗類(トカゲ類とヘビ類)およびムカシトカゲ類を包含する分類群に関してはいささかまばらである。今回R Martínezたちは、アルゼンチンで発見され、年代が約2億3000万年前と推定されたT. alcoberiの頭蓋化石を用いて、このギャップを埋めるのに寄与している。この保存状態の良い頭蓋は、有鱗類とムカシトカゲ類が分岐する前に進化した系統を代表するもので、従って既知で最古の鱗竜類の一種となる。著者たちは、Taytaluraと現代のムカシトカゲの頭蓋には共通した特徴があると指摘し、ムカシトカゲ類にのみ見られると推測されてきたいくつかの解剖学的特徴は、鱗竜類の進化の初期に生じたはずであると示唆している。
2021年9月9日号の Nature ハイライト
天文学:天の川銀河に落下するガスの不完全な混合
ナノフォトニクス:自己集合によるカシミール微小共振器
材料科学:細胞に似た無生物構造の作り方
エネルギー科学:採取できない化石燃料
神経科学:社会的孤立と睡眠と代謝の新たな関連性
発生生物学:ヒト腸管の単一細胞アトラス
生理学:骨格幹細胞は骨と造血系の老化に関与する
代謝:フルクトースは腸での脂質吸収レベルを高めることで肥満症と腫瘍増殖を促進する
コロナウイルス:SARS-CoV-2 mRNAワクチンによって誘導されるスパイク特異的CD8+ T細胞応答
がん:HPV陽性頭頸部がん患者の腫瘍に見られるウイルス特異的抗体