Nature ハイライト
有機化学:芳香環を切断する
Nature 597, 7874
芳香環は、その芳香族性と、環全体に共有され非局在化した電子密度ゆえに、非常に強固で安定である。従って、芳香環の選択的切断は、一般に強制的な条件下でしかできない。今回N Jiaoたちは、銅触媒を用いて、アニリン、アリールボロン酸、ハロゲン化アリールなどの一般的な芳香族化合物をアジ化ナトリウムの存在下で開環し、非環状アルケニルニトリルを合成する過程を報告している。この反応性は、現在は不可能な方法で芳香族化合物を化学原料として用いることを可能にするもので、ナイロンの骨格となるアジピン酸誘導体の合成によって簡潔に実証された。今回の方法は、バイオマス原料や石油由来原料の品質向上に有望である。
2021年9月2日号の Nature ハイライト
エレクトロニクス:分子の「決定木」を使った複雑な論理
エネルギー科学:電子織物向けのファイバー電池
有機化学:芳香環を切断する
化学:窒素の立体化学の構築
神経科学:海馬の鋭波リップルの代謝における役割
コロナウイルス:非常に優れた交差性と抗体回避抵抗性を有するSARS-CoV-2中和抗体の特定と特性解析
ウイルス学:SARS-CoV-2の広域中和抗体S2X259の特性解析
免疫学:ショウジョウバエのcGLR1はcGAS様二本鎖RNAセンサーで、dSTINGを活性化する
免疫学:ショウジョウバエで抗ウイルス免疫を活性化する新たなcGAS様受容体
構造生物学:昆虫はどのようにしてにおいを嗅ぐのか