Nature ハイライト
神経科学:海馬の鋭波リップルの代謝における役割
Nature 597, 7874
海馬は、記憶の形成を支える脳構造として広く知られている。これを最も端的に示すものとして、海馬の切除後に新規のエピソード記憶を形成できなくなった有名な患者HMの例がある。海馬の鋭波リップルは、過去の経験を「再生」することから、記憶形成過程で中心的な役割を持つと考えられている。しかし、海馬は皮質下構造にも投射し、内分泌機能にも関与している。今回G Buzsákiたちは、鋭波リップルが、体内で計測されるグルコース代謝を誘発することを見いだした。この結果は、鋭波リップルが、現在・未来・過去のホルモン状態を反映した別の機能を持つことを示唆する。
2021年9月2日号の Nature ハイライト
エレクトロニクス:分子の「決定木」を使った複雑な論理
エネルギー科学:電子織物向けのファイバー電池
有機化学:芳香環を切断する
化学:窒素の立体化学の構築
神経科学:海馬の鋭波リップルの代謝における役割
コロナウイルス:非常に優れた交差性と抗体回避抵抗性を有するSARS-CoV-2中和抗体の特定と特性解析
ウイルス学:SARS-CoV-2の広域中和抗体S2X259の特性解析
免疫学:ショウジョウバエのcGLR1はcGAS様二本鎖RNAセンサーで、dSTINGを活性化する
免疫学:ショウジョウバエで抗ウイルス免疫を活性化する新たなcGAS様受容体
構造生物学:昆虫はどのようにしてにおいを嗅ぐのか