Nature ハイライト

コロナウイルス:非常に優れた交差性と抗体回避抵抗性を有するSARS-CoV-2中和抗体の特定と特性解析

Nature 597, 7874

この数か月で、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の進化が、現在の抗体やワクチンの有効性を低下させ得ることが明らかになってきた。パンデミック(世界的大流行)の次の段階では、免疫圧の増加とウイルスの継続的な拡散によって新たな抵抗性変異株の出現が続くと考えられ、これを闘い抜くには、ワクチン設計のための回避抵抗性のエピトープや、治療や予防のための抗体が重要となるだろう。今回D Cortiたちは、SARS-CoV-2モノクロナール抗体のパネルの回避変異株に対する中和活性、交差性、感受性について包括的に調べた結果を報告している。このうち、2つの抗体がより詳細に記述されており、その1つのS2H97は、サルベコウイルス間で高度に保存されている、これまでに報告のない潜在性エピトープを認識し、ハムスターモデルで防御効果を示すことが明らかになった。もう1つのS2E12は、流行している主要な懸念される変異株を中和し、ウイルスの抗体回避を防ぐ高い障壁となることが示された。これらの結果は、将来的なSARS-CoV-2の進化やSARSに近縁なコロナウイルスの異種間伝播に対抗できる抗体の開発を導くためのエピトープや抗体の特徴を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度