Nature ハイライト

Cover Story:山頂の流れ:山脈がジェット気流の方向を変えて北米モンスーンを形成する仕組み

Nature 599, 7886

表紙は、モンスーンの嵐がアリゾナ州南東部を通過した際の雷の画像である。北半球では、夏季に強い降水帯がメキシコ西岸に沿って米国南西部へ1000 km以上にわたって広がり、これが北米モンスーンを構成する。モンスーンは一般に、陸域と海洋で太陽による温度上昇の仕方が異なるために生じると考えられている。これによって、大気圧が変化して、最終的に海洋からより温度が低く湿った大気を引き込む風が生まれ、陸域に雨が降るのである。今回W BoosとS Pascaleは、北米モンスーンは、そのようにしてではなく、山脈によって風の方向が変えられた結果生じることを示している。メキシコのシエラマドレ山脈がジェット気流を偏向させ、次に温度の高い湿った大気を上昇させて、対流性の降水を生じさせることが示された。著者たちは、陸域の加熱も生じてはいるものの、その効果はモンスーンを説明するには十分ではなく、北米モンスーンは力学的に強制されたものと考えるべきであると指摘している。

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