Nature ハイライト 医学:モノクローナル抗体の産生を促進する 2008年5月29日 Nature 453, 7195 抗体治療の使用には制限があるが、その一因は、完全ヒトモノクローナル抗体の作製が非常に難しいという点にある。Wrammertたちは今回、特定の病原体に対する生体の免疫応答がピークとなる時期を突き止めることで、高親和性ヒトモノクローナル抗体を効率よく作り出す新しい手法を開発した。インフルエンザの追加ワクチンを接種した個体では、血中のインフルエンザウイルス特異的IgG陽性抗体を分泌する細胞の数はワクチン接種後1週間で最大となり、末梢血中の全B細胞の約6%以上を占めるようになる。この時期にB細胞を採取することで、標的となる3種のインフルエンザウイルス株と高い親和性で結合するヒトモノクローナル抗体を50以上作製できるようになった。全行程には長くても1カ月ほどしかからず、従来のモノクローナル抗体作製法よりもかなり短い。この方法は、ワクチンが有効なあらゆる感染症に対して応用可能と考えられる。 2008年5月29日号の Nature ハイライト 気候:温度データを補正する 進化:脊椎動物での「最初」の生仔出生例 進化:性とマラリア原虫 医学:インフルエンザウイルスは熱帯生まれ 宇宙:炎環をもつマグネター 物理:球の充填を計算する 材料:表面の反応性を高める 医学:モノクローナル抗体の産生を促進する 目次へ戻る