Nature ハイライト

微生物学:ボルバキア菌による昆虫の生存操作

Nature 543, 7644

宿主である昆虫の精巣(青色で染色)に感染したボルバキア(赤色で染色)の顕微鏡画像(倍率は100倍)。
宿主である昆虫の精巣(青色で染色)に感染したボルバキア(赤色で染色)の顕微鏡画像(倍率は100倍)。 | 拡大する

Credit: Seth Bordenstein/Vanderbilt University

ボルバキア属(Wolbachia)の細菌はさまざまな節足動物に感染し、こうした節足動物にはヒトに感染する多くのウイルスを媒介する蚊も含まれる。ボルバキアの感染では「細胞質不和合」という現象が起こり、感染した雄と非感染の雌との交配で生じた胚が死に至るために、集団中での感染雌の割合が上昇する。この不和合の分子基盤はこれまで不明だった。今回S Bordensteinたちは、比較解析と遺伝子導入の手法を用いて、ボルバキア由来のプロファージWOがコードする2つの遺伝子が、細胞質不和合を再現することを見いだしている。これらの細胞質不和合性因子の発見により、WOに誘導される生殖変化を遺伝的に操作できるようになり、節足動物が媒介するウイルスのヒトへの伝播を制御するための試みが後押しされる可能性がある。

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