Nature ハイライト
微生物学:ボルバキア菌による昆虫の生存操作
Nature 543, 7644
ボルバキア属(Wolbachia)の細菌はさまざまな節足動物に感染し、こうした節足動物にはヒトに感染する多くのウイルスを媒介する蚊も含まれる。ボルバキアの感染では「細胞質不和合」という現象が起こり、感染した雄と非感染の雌との交配で生じた胚が死に至るために、集団中での感染雌の割合が上昇する。この不和合の分子基盤はこれまで不明だった。今回S Bordensteinたちは、比較解析と遺伝子導入の手法を用いて、ボルバキア由来のプロファージWOがコードする2つの遺伝子が、細胞質不和合を再現することを見いだしている。これらの細胞質不和合性因子の発見により、WOに誘導される生殖変化を遺伝的に操作できるようになり、節足動物が媒介するウイルスのヒトへの伝播を制御するための試みが後押しされる可能性がある。
2017年3月9日号の Nature ハイライト
考古学:シルクロードの謎を解く
遺伝学:長鎖ノンコーディングRNAのカタログ
幹細胞:幹細胞の「健康」はオートファジーによって維持される
分子生物学:TIRRによる二本鎖切断修復の調節
ナノ科学:単一原子の読み書き
地球科学:初期大陸は沈み込みによって形成されたのではない
微生物学:ボルバキア菌による昆虫の生存操作
ワクチン:mRNAワクチンでジカウイルスを打ち負かす
免疫学:組織常在型記憶T細胞は外来性脂質を取り込んでいる
細胞生物学:核ラミナの構造