Nature ハイライト
分子生物学:CPEB4がリスク遺伝子を調節する仕組み
Nature 560, 7719
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、多くの遺伝子バリアントの組み合わせが遺伝的要因であると考えられているが、個々のバリアントによるリスク上昇はごくわずかである。環境要因もASDの神経発達に影響を及ぼす可能性があり、これは複数のASDリスク遺伝子の調節を反映しているのかもしれない。J Lucasたちは今回、複数のASDリスク遺伝子の調節におけるCPEB4の役割を探索した。彼らは、CPEB4が高信頼度のASD遺伝子群の転写産物に結合し、ASD患者の組織内で、転写産物アイソフォームの不均衡と広範囲のポリ(A)鎖の短縮を引き起こすことを見いだした。また、マウスでCPEB4転写産物アイソフォームに同様の不均衡を生じさせると、ASDリスク遺伝子のmRNAポリアデニル化やタンパク質発現の変化が模倣され、ASDと関連する可能性のある神経解剖学的、電気生理学的、行動学的表現型が引き起こされた。
2018年8月23日号の Nature ハイライト
分子生物学:CPEB4がリスク遺伝子を調節する仕組み
構造生物学:Orcoのクライオ電子顕微鏡構造は昆虫嗅覚の基盤についての手掛かりをもたらす
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微生物学:成体の腸が微生物相を獲得する仕組み
生物学的手法:RNAのスナップショットをつなぎ合わせて細胞系譜を示す
医学研究:ケトン食療法がある種の抗がん剤への応答を改善する可能性
分子生物学:IP6はHIV-1の集合と成熟を促進する