Nature ハイライト
医学研究:ケトン食療法がある種の抗がん剤への応答を改善する可能性
Nature 560, 7719
PI3Kの変異は、がんのドライバー変異であることがよく知られており、これを標的にした阻害剤が複数開発されている。PI3Kはグルコース代謝のマスター調節因子であるため、その阻害は高血糖や代償性のインスリン上昇につながることが知られている。今回、治療中の腫瘍でグルコース–インスリンフィードバックがPI3Kシグナル伝達を再活性化し、抗がん剤の効果を弱める可能性があることが明らかにされた。この標的化治療が引き起こすインスリンフィードバックを薬理学的方法あるいは食餌によって防ぐと、治療の有効性が高まることが分かった。この結果は、標的化治療と食餌療法の組み合わせをうまく活用すれば、治療への応答が改善する可能性を示唆している。
2018年8月23日号の Nature ハイライト
分子生物学:CPEB4がリスク遺伝子を調節する仕組み
構造生物学:Orcoのクライオ電子顕微鏡構造は昆虫嗅覚の基盤についての手掛かりをもたらす
量子物理学:プログラム可能な磁気格子としての量子プロセッサー
物性物理学:パターンの記憶には2つの秩序が必要
古生物学:真のカメ類はいつ出現したのか
微生物学:成体の腸が微生物相を獲得する仕組み
生物学的手法:RNAのスナップショットをつなぎ合わせて細胞系譜を示す
医学研究:ケトン食療法がある種の抗がん剤への応答を改善する可能性
分子生物学:IP6はHIV-1の集合と成熟を促進する