Nature ハイライト
物性物理学:パターンの記憶には2つの秩序が必要
Nature 560, 7719
マルチフェロイック物質は、強的秩序(すなわち強磁性、強誘電性、強弾性)のうち2種類以上を示す物質である。これらの秩序を結び付けることで、磁場による電気分極の操作や、印加電圧によるスピン磁気モーメントの操作が可能になり、調節可能な多機能デバイスの開発に利用できる可能性がある。今回M Fiebigたちは、既存のドメインパターンを変化させずにマルチフェロイック物質の電気分極や磁気分極を反転できることを示している。今回の知見は、ドメインパターンの記憶には第二の強的秩序が必要であり、もう1つの強的秩序によって全体の符号が決定されることを示しているので、強的秩序を1つしか持たない物質に関する常識とは大きく異なっている。この研究は、電気磁気的相制御を超えて多重秩序パラメーターの機能性を実現させ得る方法を例示するものである。
2018年8月23日号の Nature ハイライト
分子生物学:CPEB4がリスク遺伝子を調節する仕組み
構造生物学:Orcoのクライオ電子顕微鏡構造は昆虫嗅覚の基盤についての手掛かりをもたらす
量子物理学:プログラム可能な磁気格子としての量子プロセッサー
物性物理学:パターンの記憶には2つの秩序が必要
古生物学:真のカメ類はいつ出現したのか
微生物学:成体の腸が微生物相を獲得する仕組み
生物学的手法:RNAのスナップショットをつなぎ合わせて細胞系譜を示す
医学研究:ケトン食療法がある種の抗がん剤への応答を改善する可能性
分子生物学:IP6はHIV-1の集合と成熟を促進する