Nature ハイライト
分子生物学:IP6はHIV-1の集合と成熟を促進する
Nature 560, 7719
イノシトールヘキサキスリン酸(InsP6、別名IP6)はあらゆる哺乳類細胞に存在し、大量の負電荷を持つ化合物である。R Dickたちは今回、IP6がHIV-1のウイルス粒子の集合と成熟を促進する宿主因子であることを明らかにしている。機能実験と構造生物学の手法、分子動態シミュレーションとを組み合わせて用いることで、IP6がHIV-1の構造タンパク質であるGag六量体の中心に結合し、未成熟なHIV-1のGag格子の形成を促進することが明らかになった。成熟に伴いGagが分解されると別のIP6結合部位が露出し、成熟キャプシド格子の集合が促進される。
2018年8月23日号の Nature ハイライト
分子生物学:CPEB4がリスク遺伝子を調節する仕組み
構造生物学:Orcoのクライオ電子顕微鏡構造は昆虫嗅覚の基盤についての手掛かりをもたらす
量子物理学:プログラム可能な磁気格子としての量子プロセッサー
物性物理学:パターンの記憶には2つの秩序が必要
古生物学:真のカメ類はいつ出現したのか
微生物学:成体の腸が微生物相を獲得する仕組み
生物学的手法:RNAのスナップショットをつなぎ合わせて細胞系譜を示す
医学研究:ケトン食療法がある種の抗がん剤への応答を改善する可能性
分子生物学:IP6はHIV-1の集合と成熟を促進する