Nature ハイライト
医学研究:広範囲中和抗体でHIVリザーバーに挑む
Nature 563, 7731
HIVを認識する広範囲中和抗体は、未治療のサルや抗ウイルス薬治療を中断しているヒト患者において、ウイルスレベルを低下させることが示されている。D Barouchたちは今回、抗ウイルス薬によってウイルス完全抑制下にあるアカゲザルにおいて、広範囲中和抗体がその個体内で存続するHIV-1リザーバーを標的とできるかどうかを調べた。その結果、薬剤治療をしている動物に、広範囲中和抗体と自然免疫系の刺激因子(TLR7アゴニスト)とを組み合わせて投与すると、薬剤中断後のウイルスリバウンドが抑制されることが明らかになった。この研究の注意すべき点は、サルはウイルス感染直後に最初の薬物治療を開始したため、そのリザーバーが小さいかもしれないことである。とはいうものの、この研究は、原理的には広範囲中和抗体がHIVリザーバーとの闘いにおいて有用なツールである可能性を示している。
2018年11月15日号の Nature ハイライト
代謝:NAD+を増やして長寿と繁栄を
医学研究:広範囲中和抗体でHIVリザーバーに挑む
天文学:バーナード星を回る候補惑星
有機化学:オレフィンを用いるアルキル炭素–アルキル炭素結合の形成
地球科学:これまで考えられていたよりも大量の地球深部への水の沈み込み
バイオメカニクス:効率的な筋肉が大型動物の長距離移動を可能にする
微生物学:ショウジョウバエでは腸内微生物相が運動を調節する
海洋化学:海洋の有機硫黄循環の拡大
植物科学:光合成酸素発生反応の中間体構造