Nature ハイライト
有機化学:オレフィンを用いるアルキル炭素–アルキル炭素結合の形成
Nature 563, 7731
sp3混成炭素中心(すなわちアルキル基)同士の結合などの炭素–炭素結合の形成は、求電子剤と有機金属試薬のクロスカップリングによって行われることが最も多い。今回G Fuたちは、有機金属試薬の代わりにオレフィンを用いて、最も難しい組み合わせの結合であるアルキル炭素–アルキル炭素結合を形成する新しい戦略を報告している。ヒドロシランの存在下でニッケルに触媒されるハロゲン化アルキルとオレフィンの不斉還元的カップリングによって、高い収率とエナンチオ選択性で生成物が得られた。このエナンチオ収束的なカップリングは第三級ハロゲン化アルキルにも応用可能で、その場合、ラセミ体出発物質が第四級立体中心を持つエナンチオリッチな生成物に変換される。今回の反応によって、アルキンやペルフルオロアルキル基を持つ求電子剤などの単純な出発物質からさまざまなキラル構成要素が得られる。
2018年11月15日号の Nature ハイライト
代謝:NAD+を増やして長寿と繁栄を
医学研究:広範囲中和抗体でHIVリザーバーに挑む
天文学:バーナード星を回る候補惑星
有機化学:オレフィンを用いるアルキル炭素–アルキル炭素結合の形成
地球科学:これまで考えられていたよりも大量の地球深部への水の沈み込み
バイオメカニクス:効率的な筋肉が大型動物の長距離移動を可能にする
微生物学:ショウジョウバエでは腸内微生物相が運動を調節する
海洋化学:海洋の有機硫黄循環の拡大
植物科学:光合成酸素発生反応の中間体構造