Nature ハイライト
物性物理学:トポロジカル相の超高速制御
Nature 565, 7737
固体における新規トポロジカル相の探索は今も続いているが、将来的にデバイスに応用するには、そうした相を動的に制御する必要がある。使用するデバイスと材料によっては、異なる相の間のスイッチングが、さまざまな外場によってさまざまな時間スケールで誘起される可能性がある。今回A Lindenbergたちは、テラヘルツ光パルスによって、ワイル半金属WTe2においてトポロジカル相と自明な相の間で転移が誘起されることを実証している。この超高速転移は、レーザー誘起せん断ひずみを用いて実現され、格子の対称性が変化して、準安定な中心対称性の相になる。こうした知見は、トポロジカル特性の制御が、テラヘルツの時間スケールで場によって駆動される格子変形を通して実現される可能性を実証するものであり、その結果得られる超高速トポロジカルスイッチは今後のデバイスの出発点となる可能性がある。
2019年1月3日号の Nature ハイライト
電子デバイス:スピントロニクス論理で計算する
構造生物学:プロテアソームがとる7つの状態のクライオ電子顕微鏡構造
物性物理学:トポロジカル相の超高速制御
氷河学:グリーンランドの融解水がメタンを大気に放出させる
考古学:東洋のルヴァロワ
神経科学:平行した経路が疼痛経験に対して異なる行動応答を駆動する
植物科学:親世代の形質を保持するクローンイネ
生化学:代謝で腎臓損傷を予防
タンパク質設計:設計して作られたタンパク質ペア
化学生物学:アシル中間体を捕捉する