Nature ハイライト

化学生物学:アシル中間体を捕捉する

Nature 565, 7737

セリン残基とシステイン残基は、アシル基の転移を触媒する酵素、例えばヒドロラーゼやプロテアーゼに共通して見られる。今回J Chinたちは、非天然型アミノ酸である2,3-ジアミノプロピオン酸(DAP)をタンパク質に取り込ませる方法について報告している。彼らはこの手法を用いて、バリノマイシン(環状デプシペプチド抗生物質の1つで、カリウムイオノフォアである)の生合成の主要なアシル中間体を捕捉した。DAPはシステインやセリンと置換できるアミノ酸で、アシル化によって、天然の一過性の(チオ)エステルに比べて安定したアミド付加物を生じる。このアミド付加物からバリノマイシンシンテターゼ装置についての構造的知見が得られ、この非リボソームペプチドシンテターゼが、基質のオリゴマー化とその後の環化をどのような仕組みで制御するのかが明らかになった。他の条件でもDAP取り込みを利用すれば、他のタンパク質の、より広くいえば化学生物学における重要な問題を解決できるだろう。

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