Nature ハイライト
植物科学:親世代の形質を保持するクローンイネ
Nature 565, 7737
収量の高い作物の問題の1つとして、それらは雑種であることが多いことが挙げられる。雑種であると親世代の形質は次世代に受け継がれない。V Sundaresanたちは今回、イネ(Oryza sativa)の卵細胞に1つの転写因子を過剰発現することによって単為生殖による発生を誘導し、通常の受精機構に依存しない繁殖を行うことに成功したことを報告している。これは、たった1つの野生型遺伝子によって、雌性配偶子での受精チェックポイントの迂回が可能であることを示している。BBM1(BABY BOOM1)と名付けられたこの転写因子は、通常は精細胞で発現している。この知見は、親世代の形質を保持した作物の作出を可能にするだけでなく、イネという重要な作物の受精の分子機構も明らかにしている。
2019年1月3日号の Nature ハイライト
電子デバイス:スピントロニクス論理で計算する
構造生物学:プロテアソームがとる7つの状態のクライオ電子顕微鏡構造
物性物理学:トポロジカル相の超高速制御
氷河学:グリーンランドの融解水がメタンを大気に放出させる
考古学:東洋のルヴァロワ
神経科学:平行した経路が疼痛経験に対して異なる行動応答を駆動する
植物科学:親世代の形質を保持するクローンイネ
生化学:代謝で腎臓損傷を予防
タンパク質設計:設計して作られたタンパク質ペア
化学生物学:アシル中間体を捕捉する