Nature ハイライト
分子生物学:マイクロRNAによるブタの心臓修復がもたらす悪影響
Nature 569, 7756
心筋梗塞を起こしたマウスの心臓にウイルスベクターでマイクロRNAを送達すると、心臓の再生が促進されることが明らかになっている。今回M Giaccaたちは、大型動物モデルでこの治療法の応用を試みた結果を報告している。梗塞したブタの心筋にヒトmiR-199aをコードするアデノ随伴ウイルスベクターを送達したところ、1か月後に心臓の修復と心機能の改善を示す証拠が認められた。しかし、治療後およそ7週間で、数頭のブタが不整脈による突然死を起こした。この研究は、マイクロRNA治療による心臓の修復は大型動物モデルでも可能だが、マイクロRNAを制御せずに発現させ続けると深刻な副作用を生じる恐れがあることを示している。
2019年5月16日号の Nature ハイライト
量子物理学:量子シミュレーションの新しい方法
糖尿病:インスリン産生細胞への道筋を解明
惑星科学:月の裏側のマントル鉱物
地球化学:揮発性物質に富むバミューダ諸島の生成源
人類学:高地に適応していたデニソワ人
分子生物学:マイクロRNAによるブタの心臓修復がもたらす悪影響
がん:RBタンパク質は腫瘍発生のさまざまな段階で機能する
腫瘍免疫学:免疫療法の副作用を防止する
生物工学:塩基エディターのトランスクリプトーム規模での編集活性
分子工学:金の針でとじられた奇抜なタンパク質ケージ