Nature ハイライト

材料科学:応力で現れる構造色

Nature 570, 7761

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Credit: M M Ito et al. Nature

ポリカーボネート製の温室の所有者や、プラスチック食器を何度も食洗器にかけたことのある人であれば、ガラス状ポリマーのクレージング(細かなひび割れ)や白化をよく知っているだろう。このような材料破壊は、溶媒、高温、紫外光にさらされたときに生じるポリマー中の局所的応力に起因する。今回E Sivaniah(京都大学)たちは、環境応力によるクレージングに似た過程を開発し、これによってガラス状ポリマーに制御可能な構造色を生み出せることを報告している。著者たちは、定在波光学系と適切な溶媒を用いて、応力がかかった層、つまりひび割れた層に似たマイクロフィブリル化ポリマーの層を膜内に形成した。通常、クレージングは材料破壊につながるが、今回の場合は、規則的な層が形成されたことで構造色が生じている。この構造色は、波長、溶媒選択、照射時間を用いて調節でき、著者たちは、「真珠の耳飾りの少女」や「モナリザ」といった絵画のミリメートルスケール版などの小さな画像を、インクを用いずに作成できた。

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