Nature ハイライト
Cover Story:量子論理:原子のエンタングルした電子スピンに基づく2キュービット交換ゲート
Nature 571, 7765
リン原子の電子スピンに基づく量子ビット(キュービット)は、量子コンピューティングのプラットフォームとして大いに有望である。プロセッサーの構成要素である論理ゲートを作るには、電子スピン同士をすぐ近くに置いて、強い相互作用と高速ゲート動作を可能にする。シリコン量子ドットでエンタングルメントが実現されているが、原子キュービットに束縛された2つの電子の間の相互作用の実現は難しかった。今回M Simmonsたちは、シリコンにおいてドナーのリン原子の電子間のナノ秒2キュービット交換ゲートについて報告している。著者たちは、キュービットの配置とそれに付随する制御回路を原子スケールで操作して、スピン状態の忠実度の高い読み出しを達成することによって、このゲートを実現している。この高速交換ゲートが作られたことで、シリコンでの電子スピンキュービットを用いた大規模量子回路が、現実に一歩近づいた。
2019年7月18日号の Nature ハイライト
計算化学:反応予測が容易に
進化学:胚発生の細胞別トランスクリプトミクス
遺伝学:単一細胞ジェノタイピング
神経科学:大脳皮質の符号化構造
生化学:脂質二重層の単層間で脂質が移動する仕組み
物性物理学:擬ギャップの温度を測る
工学:アリから着想を得たロボット
化学:自動的に進むナノリボン合成
気候科学:海面水温記録の問題を修正する
生化学:mRNAの液–液相分離能はm6Aによって増強される
構造生物学:ミトコンドリア内での分裂