Nature ハイライト

がんゲノミクス:SF3B1の変異が腫瘍発生を促進する仕組み

Nature 574, 7778

SF3B1は、がんで最も変異していることの多いRNAスプライシング因子である。今回R Bradleyたちが、その発がん作用の基盤となる機序の1つを明らかにしている。SF3B1の変異によってBRD9のスプライシングのパターンが変化して分解につながるため、BRD9が減少する。BRD9は、非カノニカルBAF複合体と呼ばれるクロマチンリモデリング複合体の成分で、これが失われるとゲノムの特定の座位で非カノニカルBAFの変化が起こり、それによって遺伝子の発現に異常が生じる。著者たちは、BRDが失われると黒色腫の発生が促進されることを明らかにした。BRD9のスプライシング異常を修正すると腫瘍増殖が抑制されるので、この結果はSF3B1変異を持つがんの新しい治療法につながる可能性がある。

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