Nature ハイライト

進化遺伝学:平行進化の経路

Nature 574, 7778

収斂が自然界でこれほどよく見られるのはなぜだろうか。この現象の顕著な例の1つは、昆虫が、強力な植物毒素に対する耐性を進化させてきた機構である。例えば、強心配糖体という毒素は、通常はNa+/K+-ATPアーゼを標的とするが、昆虫綱の6つの目では、この酵素のアミノ酸置換を平行進化させることにより、このような毒素に対する耐性を獲得している。しかし2つの疑問が残っている。1つ目は、これらの繰り返し進化した4回のアミノ酸変異は耐性を付与するのに十分なのかどうか。2つ目は、これほど遠縁の昆虫に、これらの平行進化した変異が生じたのはなぜなのか、である。N Whitemanたちは今回、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)においてCRISPR–Cas9を用いて、オオカバマダラの系統で観察される変異経路の進化の順序で、この4つのアミノ酸置換のそれぞれをノックインして調べた。オオカバマダラは、これらの毒素に耐性があるだけではなく、その毒素を体内に蓄積して自己防御する種である。今回の結果は、収斂形質の教科書的な例の起源と機能的な遺伝学的基盤について最初の包括的な解析を示すことで、進化生物学の基本的な問題に関する手掛かりを示している。

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