Nature ハイライト
量子物理学:超固体性を探る
Nature 574, 7778
超固体は、超流動体の摩擦のない流れと固体の結晶に似た周期的な密度変調が組み合わさった物質の状態である。1950年代に初めて予測されて以来、超固体状態を実現しようと多くの実験的取り組みがヘリウムに重点を置いて行われてきたが、説得力のある成功は得られていない。最近では、極低温量子気体で超固体性が調べられている。今年に入って、超固体の特徴的な性質である周期的な密度変調と、同時に起こる大域的な位相コヒーレンスが、双極子量子液滴アレイで報告された。今回G Modugnoたちは、調和トラップに捕獲した双極子ボース・アインシュタイン凝縮体において、ゴールドストーンモードと呼ばれる2つの異なる圧縮振動モードの特性を評価する際に、超固体の対称性の破れを実証している。また、F Böttcherたちは別の論文で、低エネルギーのゴールドストーンモードに注目して、超固体性のもう1つの重要な特徴である位相剛性の直接的な証拠を示している。これら2報の論文で報告された結果によって、超流動体、超固体、固体に似た配置の間の量子相転移の研究が促進される可能性がある。
2019年10月17日号の Nature ハイライト
健康科学:世界の乳幼児死亡の不均衡
加齢:RESTと神経興奮は寿命に影響を及ぼす
量子物理学:超固体性を探る
大気科学:清浄な領域における大気中の新たな粒子の広範囲の形成
感染症:アフリカのマラリア媒介蚊は風に運ばれて移動する
進化遺伝学:平行進化の経路
神経科学:ニューロン膜電位の単一光子顕微鏡画像化
発生生物学:ヒトの脳発生は他の大型類人猿からどのように分岐したか
胚形成:カスパーゼ-8を介したネクロトーシス細胞死の調節
がんゲノミクス:SF3B1の変異が腫瘍発生を促進する仕組み