Nature ハイライト
細菌:細菌のcGASシステムはファージに対する防御として働く
Nature 574, 7780
細菌は多種多様な防御機構を使ってファージから身を守っている。R Sorekたちは今回、新たな抗ファージ経路について報告している。この経路は細菌に広く見られ、サイクリックGMP–AMP(cGAMP)の合成を介して働く。著者たちは、細菌のサイクリックGMP–AMPシンターゼ(cGAS)でもタンパク質が、ファージ感染後にcGAMPを産生して、関連するホスホリパーゼの活性化を誘導し、結果的に細菌の細胞膜の分解とその後の細胞死を引き起こすことを明らかにしている。この事象は、ファージが複製して高密度になる機会を得る前に起こるため、残りの細菌集団は感染から守られる(この機構は不稔感染として知られる)。バイオインフォマティクス解析によって、細菌のcGASは他にも多様なエフェクター因子を持つことが分かり、それらの中には、膜孔形成タンパク質など、それ自体が防御を担っているものも含まれていた。動物のcGASシステムは抗ウイルス防御として働くことから、その起源は原核生物にあるのではないかと著者たちは考えている。