Nature ハイライト
細胞生物学:tループの動態を制御するスイッチ
Nature 575, 7783
テロメアの末端はシェルタリン複合体によって保護されており、それによってDNA損傷シグナル伝達や染色体末端のでたらめな修復が防がれている。一本鎖のテロメア末端は投げ縄に似たtループ構造を形成し、これが不適切なDNA損傷シグナル伝達と非相同末端結合修復を抑制すると考えられている。S期にはRTEL1ヘリカーゼがこれらのtループをほどき、テロメアの半保存的DNA複製を可能にすると考えられていた。今回G Sarekたちは、シェルタリン複合体のTRF2サブユニットにあるリン酸スイッチが、RTEL1のテロメアへの一時的な動員とテロメアからの放出を制御することを明らかにしている。これによってわずかな時間的猶予が生じ、その間にヘリカーゼが一時的にtループに接近してほどき、テロメアの複製を促進する。さらに、tループの主な機能はDNA損傷シグナル伝達を防ぐことであり、染色体末端の融合の抑制には必要ではないらしいことも分かった。
2019年11月21日号の Nature ハイライト
天体物理学:ガンマ線バーストの残光からのテラ電子ボルト放射
天体物理学:GRB 190114Cの多波長観測
天体物理学:ガンマ線バーストからの超高エネルギーγ線
材料科学:電場によって駆動される冷却
工学:皮膚によって改善される仮想現実
古生物学:二足歩行への道の途中
微生物学:マウスのアルコール性肝炎をバクテリオファージ療法で軽減する
がん:ウイルスを介して皮膚がんを防ぐ
細胞生物学:tループの動態を制御するスイッチ
光合成:Qサイクル中での電子伝達
構造生物学:古代の遺伝子転位機構