Nature ハイライト
Cover Story:秩序のオーダーメイド:光による電子の整列によって結晶構造にキラリティーが加わる
Nature 578, 7796
キラリティー(カイラリティ)は、自然界の物質によくある特性で、右手と左手のような互いに鏡像関係にある分子においておそらく最も一般的に見られる。物性物理学では、結晶の電子構造が同様に幾何学的キラリティーを示し、そうしたキラリティーは結晶格子が形成される際にあらかじめ決められることが多い。しかし、一部の物質では、電子が自発的に配列して、キラルでない物体にキラリティーを与えることがある。こうしたジャイロトロピック秩序化は、コレステリック液晶の量子版として説明されてきたが、その観測は難しいことが分かっている。今回N Gedikたちは、遷移金属ジカルコゲニド(半金属1T-TiSe2)においてジャイロトロピック秩序化を誘導し、それを観測したことを報告している。表紙は、著者たちの方法の想像図で、臨界温度以下に冷却しながら1T-TiSe2に円偏光を当てると、片方のキラル領域が優先的に形成される様子を表している。
2020年2月27日号の Nature ハイライト
原子核物理学:間近にある核子
エネルギー科学:被害の軽減
材料科学:ひずみ硬化する金属ガラス
気候科学:棚氷のブロック状の面は温かい海水による融解を妨げる
植物生物学:細胞の活性酸素種センサー
創薬:糖ペプチドの新しい作用機構
免疫学:セリアック病のマウスモデル
細胞生物学:自然免疫系の危機センサーTLR9に免疫以外の役割
神経免疫学:免疫細胞はマウスの適応的熱発生を調節する
がん:細胞の代謝を機械的に調節する
構造生物学:明らかになった甲状腺ホルモン合成部位