Nature ハイライト
植物生物学:細胞の活性酸素種センサー
Nature 578, 7796
植物では、外的ストレスや内的なシグナルに応答して産生した過酸化水素(H2O2)が、膜タンパク質であるアクアポリンチャネルを通って細胞内に入るが、細胞がこの活性酸素種を感知する仕組みは不明だった。今回Z Peiたちは、これまで特性が知られていなかったサブファミリーに属するロイシンリッチリピート受容体キナーゼのHPCA1が、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の孔辺細胞の細胞膜に存在するH2O2センサーであることを明らかにしている。彼らは、H2O2が、細胞外のシステイン残基を共有結合的に修飾することによってHPCA1を活性化し、これがHPCA1の自己リン酸化につながることを見いだした。活性化されたHPCA1は次いで、H2O2が誘発するCa2+流入チャネルの活性化と気孔の閉鎖を仲介する。
2020年2月27日号の Nature ハイライト
原子核物理学:間近にある核子
エネルギー科学:被害の軽減
材料科学:ひずみ硬化する金属ガラス
気候科学:棚氷のブロック状の面は温かい海水による融解を妨げる
植物生物学:細胞の活性酸素種センサー
創薬:糖ペプチドの新しい作用機構
免疫学:セリアック病のマウスモデル
細胞生物学:自然免疫系の危機センサーTLR9に免疫以外の役割
神経免疫学:免疫細胞はマウスの適応的熱発生を調節する
がん:細胞の代謝を機械的に調節する
構造生物学:明らかになった甲状腺ホルモン合成部位