Nature ハイライト
構造生物学:明らかになった甲状腺ホルモン合成部位
Nature 578, 7796
甲状腺ホルモンは、ヨウ素を我々の体内に取り込む。この過程は、代謝の調節などの多数の生理過程に必要である。実際、人口の約5%が甲状腺の機能亢進もしくは機能低下を患っており、これらは共に慢性的な症状を引き起こしている。今回J Löweたちは、甲状腺ホルモン合成を担うタンパク質であるチログロブリンの構造を報告している。珍しいことに、チログロブリンは酵素ではなく、ホルモン自体のタンパク質前駆体として働き、ヨウ素化の足場となっていることが分かった。この反応はチロシン残基対が存在する部位で起こり、チロシン残基が近接していて、反応部位が柔軟性を持っているとヨウ素化が実行可能となる。これらの部位は無関係なタンパク質に導入することができ、天然の系に匹敵する効率で反応が起こる。
2020年2月27日号の Nature ハイライト
原子核物理学:間近にある核子
エネルギー科学:被害の軽減
材料科学:ひずみ硬化する金属ガラス
気候科学:棚氷のブロック状の面は温かい海水による融解を妨げる
植物生物学:細胞の活性酸素種センサー
創薬:糖ペプチドの新しい作用機構
免疫学:セリアック病のマウスモデル
細胞生物学:自然免疫系の危機センサーTLR9に免疫以外の役割
神経免疫学:免疫細胞はマウスの適応的熱発生を調節する
がん:細胞の代謝を機械的に調節する
構造生物学:明らかになった甲状腺ホルモン合成部位