Nature ハイライト
免疫学:セリアック病のマウスモデル
Nature 578, 7796
B Jabriたちは今回、グルテンを含む穀物の摂取によって引き起こされるヒトの腸の炎症性疾患であるセリアック病について、その重要な特徴を再現するマウスの遺伝学的モデルについて報告している。セリアック病は複雑な疾患であり、組織型トランスグルタミナーゼ2(TG2)酵素に対する抗体などの自己免疫の構成要素、CD4+ T細胞(その一部は脱アミド化グリアジンペプチドに応答する)、HLA対立遺伝子が関与する。このマウスモデルからは、上皮損傷の誘導に必要な細胞傷害性T細胞の完全活性化のライセンシングにおいて、DQ8依存性グルテン特異的CD4+ T細胞とIL-15が協調的な役割を担っている証拠が得られた。セリアック病は患者での研究が難しく、この複雑な疾患の多くの面を解析可能にする動物モデルの存在は、新たな治療戦略の開発に役立つだろう。
2020年2月27日号の Nature ハイライト
原子核物理学:間近にある核子
エネルギー科学:被害の軽減
材料科学:ひずみ硬化する金属ガラス
気候科学:棚氷のブロック状の面は温かい海水による融解を妨げる
植物生物学:細胞の活性酸素種センサー
創薬:糖ペプチドの新しい作用機構
免疫学:セリアック病のマウスモデル
細胞生物学:自然免疫系の危機センサーTLR9に免疫以外の役割
神経免疫学:免疫細胞はマウスの適応的熱発生を調節する
がん:細胞の代謝を機械的に調節する
構造生物学:明らかになった甲状腺ホルモン合成部位