Nature ハイライト

神経変性:腸内環境がALS発症に関与する

Nature 582, 7810

C9ORF72は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関与する最もありふれた遺伝的バリアントであるが、浸透度が不完全なことから、環境要因が疾患リスクに関わっていると考えられている。K Egganたちは今回、C9orf72対立遺伝子を持つマウスを使った研究で、2つの異なる施設で飼育されたマウスの表現型(死亡率や運動障害など)が異なること、そしてこれが2つの施設のマウスの腸内微生物相の違いと相関することを見いだしている。微生物相の移植などの広範にわたる一連の実験から、免疫を刺激する細菌の量の減少がC9orf72変異マウスの早期死亡を防ぎ、その原因となる全身炎症や自己免疫を顕著に軽減させ、運動機能の改善につながることが明らかになった。今回のデータは、いくつかの細菌が関与している可能性を示唆しており、このためこれらの細菌の疾患表現型への相対的な関与や、特定の腸内細菌がこの不治の疾患の転帰を決定する機構を調べるためにはさらなる研究が必要となるだろう。

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