Nature ハイライト
心血管疾患:コレステロール関連疾患リスクの中心地域の世界的な変遷
Nature 582, 7810
高い血中コレステロール値は一般に、豊かな西洋諸国の特徴だと考えられてきた。しかし、そうしたコレステロール値を左右する食餌や行動の急速な変化が世界中で起きている。今回、1億人以上のデータが含まれる1000以上の研究のプール解析によって、200か国における1980〜2018年の総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、非HDLコレステロールの平均値の動向を推定した結果が報告されている。この期間中、総コレステロールや非HDLコレステロールの値は、特に東アジアおよび東南アジアの低所得国および中所得国で著しく上昇していたが、特に北西ヨーロッパや中央および東ヨーロッパの高所得国では減少していた。結果として、非HDLコレステロールレベルの最も高い国々は、1980年にはベルギーやアイスランドなどの西ヨーロッパ諸国であったのが、マレーシア、フィリピン、タイなどのアジア太平洋諸国へと移り変わっていた。
2020年6月4日号の Nature ハイライト
光物理学:光のトポロジカル流体
光物理学:共振器における自由電子と光子の効率の良い結合
生命の起源:DNAは生命誕生の前に存在したのか
地球科学:大陸の分裂時に濃集した深部炭素
心血管疾患:コレステロール関連疾患リスクの中心地域の世界的な変遷
進化学:アイスランドに残された旧人類の痕跡
再現性:データセットの解析法はいくらでもある
神経変性:腸内環境がALS発症に関与する
がん:1つのがん遺伝子上の複数の変異
微生物学:感染した赤血球上のマラリア原虫抗原に対して保護作用を持つ抗体
遺伝学:短いものへの配慮