Nature ハイライト
微生物学:感染した赤血球上のマラリア原虫抗原に対して保護作用を持つ抗体
Nature 582, 7810
D Rajたちは今回、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のグルタミン酸リッチタンパク質(PfGARP)のワクチンとしての可能性を評価している。PfGARPは、早期から後期の栄養体に感染した赤血球上に発現する寄生虫抗原であることが明らかになった。著者たちは、PfGARPを標的とする一連のモノクローナル抗体を作製し、これらの抗体が、寄生虫の増殖を抑制し、最終的にはそれらを殺傷できることを示した。非ヒト霊長類でのワクチン接種とチャンレジ研究によって、裏付けとなる証拠も得られた。これまでのところ、血液段階の熱帯熱マラリア原虫に効果的なワクチンを作る試みはほとんど成功しておらず、ほぼ全ての候補が臨床試験で失敗しており、保護作用を示す証拠は全く見られないか非常に限定的であるため、今回の研究はマラリアワクチンの研究分野で今後注目されるだろう。
2020年6月4日号の Nature ハイライト
光物理学:光のトポロジカル流体
光物理学:共振器における自由電子と光子の効率の良い結合
生命の起源:DNAは生命誕生の前に存在したのか
地球科学:大陸の分裂時に濃集した深部炭素
心血管疾患:コレステロール関連疾患リスクの中心地域の世界的な変遷
進化学:アイスランドに残された旧人類の痕跡
再現性:データセットの解析法はいくらでもある
神経変性:腸内環境がALS発症に関与する
がん:1つのがん遺伝子上の複数の変異
微生物学:感染した赤血球上のマラリア原虫抗原に対して保護作用を持つ抗体
遺伝学:短いものへの配慮