Nature ハイライト
再生医療:培養皿でヒトの皮膚を作製する
Nature 582, 7812
ヒトの皮膚をin vitroで増殖させることのできる培養系の開発に多大な努力がなされている。しかし、そうした系では通常、ヒトの皮膚と同じ複雑さを持つ組織を作り出すことができず、組織はたいていの場合、表皮細胞と真皮細胞からなる単純な層状構造をとるだけである。K Koehlerたちは今回、ヒト多能性幹細胞由来の皮膚オルガノイドを作製したことを報告している。このオルガノイドは4〜5か月の培養により、毛包、皮脂腺、感覚神経回路などの複雑な構造が発生する。この皮膚オルガノイドを免疫不全マウスの皮膚に移植すると、ヒト有毛皮膚パッチが形成されたことは重要である。以上より、今回の研究は皮膚生体工学における重要な進歩であり、皮膚発生や疾患の研究のための貴重なツールとなり、また皮膚再建治療への強力な可能性を秘めている。
2020年6月18日号の Nature ハイライト
天体物理学:周期的な高速電波バースト
天体物理学:テラ電子ボルトのエネルギーで解像されたケンタウルス座Aのジェット
ナノスケール材料:ダイヤモンドの強靭化
海洋科学:将来の北極海の酸性化に対する新たな制約
健康科学:COVID-19の拡大を予測する携帯電話データ
神経科学:脳卒中における神経保護作用への概日リズムの影響
再生医療:培養皿でヒトの皮膚を作製する
発生生物学:マウスのガストルロイドはマウスの胚発生を再現し、解明の手掛かりをもたらす
発生生物学:ヒトのガストルロイドはヒト初期胚発生の新たなin vitroモデルとなる
分子生物学:二本鎖切断をPARで確実に起こす仕組み
バイオインフォマティクス:HIVのRNAはどのように折りたたまれているのか
構造生物学:特徴が明らかになったTASKチャネル