Nature ハイライト

物性物理学:量子力学的起源のインダクタンス

Nature 586, 7828

インダクターは、電気エネルギーを磁場の形で蓄える回路要素であり、電流が流れるコイルでできている。電流と磁場と誘起電圧の関係は、古典電磁気学、すなわちファラデーの電磁誘導の法則によって記述される。今回、横内智行(理化学研究所)たちは、磁性体におけるスピンらせんの電流駆動ダイナミクスによって誘起された創発電場に基づく、量子力学的起源のインダクタンスについて報告している。観測されたインダクタンスは、電流の非線形性によって増大し、非単調な周波数依存性を示した。インダクタンスの大きさは市販のインダクターと同等だが、デバイスの体積はその約100万分の1である。今回の研究結果によって、単純形状のマイクロスケール・インダクターが実現される可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度