Nature ハイライト
物性物理学:量子力学的起源のインダクタンス
Nature 586, 7828
インダクターは、電気エネルギーを磁場の形で蓄える回路要素であり、電流が流れるコイルでできている。電流と磁場と誘起電圧の関係は、古典電磁気学、すなわちファラデーの電磁誘導の法則によって記述される。今回、横内智行(理化学研究所)たちは、磁性体におけるスピンらせんの電流駆動ダイナミクスによって誘起された創発電場に基づく、量子力学的起源のインダクタンスについて報告している。観測されたインダクタンスは、電流の非線形性によって増大し、非単調な周波数依存性を示した。インダクタンスの大きさは市販のインダクターと同等だが、デバイスの体積はその約100万分の1である。今回の研究結果によって、単純形状のマイクロスケール・インダクターが実現される可能性がある。
2020年10月8日号の Nature ハイライト
天文学:若い原始星円盤における環状構造
物性物理学:量子力学的起源のインダクタンス
化学:過渡種との反応
生物地球化学:一酸化二窒素の収支:人為起源の排出の増加
人間行動:人々を不平等にさらすと富裕層への課税に対する支持が高まる
分子生物学:霊長類の介在ニューロンレパートリーに見られる新機軸
神経科学:新しい信号は視床下部で経路が決まる
神経発生:母体の微生物相は子の神経発生に影響を与える
がん:がんにおけるマイクロサテライト不安定性の巻き戻し
がん:内皮細胞はSLIT2–ROBOシグナル伝達を介して転移を促進する
構造生物学:構造から見たサリチル酸認識機構
構造生物学:分枝アミノ酸製造装置