Nature ハイライト
分子生物学:霊長類の介在ニューロンレパートリーに見られる新機軸
Nature 586, 7828
今回、霊長類の行動や認知能力が他の動物種と比べて大きく異なることを説明し得る、脳各領域での細胞レベルの違いが調べられている。S McCarrollたちは、単一核RNA塩基配列解読を用いて、ヒト、アカゲザル、コモンマーモセット、マウス、フェレットに由来する計20万個近くの介在ニューロンについて、RNA発現プロファイリングを行った。その結果、相同な介在ニューロンのタイプは、フェレットとマウスと霊長類の間でその数やRNA発現に差異が見られたが、霊長類3種の間ではそうした差異はごくわずかだった。また、コモンマーモセットとヒトの線条体に見られる新規な介在ニューロンなど、霊長類に特異的な特徴も複数見いだされた。霊長類と齧歯類が進化の過程で分岐する中で、遺伝子と細胞タイプの特性がどのように変化し、あるいは保存されてきたのたかを理解することは、モデル動物系の設計や実験結果の解釈についての指針を示し、特にヒトの脳疾患の研究に役立つと考えられる。
2020年10月8日号の Nature ハイライト
天文学:若い原始星円盤における環状構造
物性物理学:量子力学的起源のインダクタンス
化学:過渡種との反応
生物地球化学:一酸化二窒素の収支:人為起源の排出の増加
人間行動:人々を不平等にさらすと富裕層への課税に対する支持が高まる
分子生物学:霊長類の介在ニューロンレパートリーに見られる新機軸
神経科学:新しい信号は視床下部で経路が決まる
神経発生:母体の微生物相は子の神経発生に影響を与える
がん:がんにおけるマイクロサテライト不安定性の巻き戻し
がん:内皮細胞はSLIT2–ROBOシグナル伝達を介して転移を促進する
構造生物学:構造から見たサリチル酸認識機構
構造生物学:分枝アミノ酸製造装置