Nature ハイライト
物性物理学:モアレグラフェンにおける相関を熱力学的に調べる
Nature 592, 7852
ねじれ2層グラフェンにおける超伝導や異常金属相などの強相関相の微視的起源は、まだ明らかになっていない。その理由の1つは、グラフェン中の電子の電荷、スピン、バレーといったさまざまな自由度(これらは「フレーバー」とも呼ばれる)を考慮して機構的知見を得る必要があるからである。今回P Jarillo-Herreroたちはこれに関連して、ねじれ2層グラフェンにおける強相関の起源には交換相互作用が不可欠であることを実証している。この結論は、モアレグラフェンにおける全ての整数充填での化学ポテンシャルのピン止めによって明らかになった、スピン/バレーのフレーバー対称性の破れの観測に基づいている。著者たちはまた、異常金属相の理論的説明の絞り込みに役立つ電荷拡散率も測定した。今回の結果は、ねじれ2層グラフェンにおける電子相の理解を深めるもので、より一般的には、これによって強相関相の理解も深まる可能性がある。
2021年4月1日号の Nature ハイライト
物性物理学:モアレグラフェンにおける相関を熱力学的に調べる
ナノスケール材料:金属の直接3Dナノ造形
材料科学:アモルファス固体の構造研究方法
生態学:温暖化は栄養段階間のエネルギー転換を減少させる
発生生物学:長鎖ノンコーディングRNAの変異が肢形成異常を引き起こす
幹細胞:短腸症候群の治療法候補としてのオルガノイド移植
植物科学:植物の2つの免疫経路間のクロストーク
コロナウイルス:SARS-CoV-2スパイク変異株はウイルス複製を増強する
がん免疫学:黒色腫での細菌由来ペプチドの提示
分子生物学:ヌクレアーゼ複合体を凝縮する