Nature ハイライト
惑星科学:海洋は原始地球では形成されたが、原始金星では形成されなかった
Nature 598, 7880
地球上で大海が最初に出現したのはいつなのか。金星のような現在非常に高温の惑星表面にも、かつては海が存在したのか。今回M Turbetたちは、三次元気候モデルを使ってこれらの疑問を調べ、原始金星では雲レジームの違いによって海洋形成が妨げられたが、原始地球では妨げられなかったと結論付けている。具体的には、金星の自転速度が遅く夜側に水雲が強く形成されていたため、「暗く若い太陽」の条件下であっても、温暖化効果が生じて海洋の形成が妨げられたと思われる。一方、地球の気候は海洋の形成に適していたが、それは、原始太陽が今よりも暗いという条件だったからに他ならない。従って、著者たちは、地球の海洋は約40億年前に形成された可能性が最も高いと結論付けている。
2021年10月14日号の Nature ハイライト
天文学:白色矮星の周囲を軌道運動する木星型惑星
惑星科学:海洋は原始地球では形成されたが、原始金星では形成されなかった
化学:多孔性結晶の圧搾
エネルギー科学:光触媒を用いる100 m2スケールの安全な水素製造
気候科学:予測される将来のエネルギー支出の気候変動による減少
食餌:水産食品の可能性を探る
神経科学:海馬回路も強化学習にドーパミン信号系を使っている
コロナウイルス:2020年の米国におけるCOVID-19の疾病負荷の定量化
免疫学:C型レクチンはSARS-CoV-2の付着受容体である
老化:時間制限摂餌の仕組み