Nature ハイライト

Cover Story:オキアミの大量消費:採餌測定で明らかになった予想を大きく上回るヒゲクジラ類の餌消費量

Nature 599, 7883

データ収集用の吸盤タグを装着したクロミンククジラ(<i>Balaenoptera bonaerensis</i>)。2019年、南極沖にて。
データ収集用の吸盤タグを装着したクロミンククジラ(Balaenoptera bonaerensis)。2019年、南極沖にて。 | 拡大する

Credit: Ari Friedlaender under NOAA/NMFS permit 23095

表紙は、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバー島沖におけるザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)の突進採餌の様子である。ザトウクジラなどのヒゲクジラ類は、膨大な量の餌を消費するが、その量を正確に調べるのは難しい。今回M Savocaたちは、クジラの位置の追跡と餌密度の音響測定を組み合わせて用い、餌の消費量が、これまでの見積もりが示唆するものより数倍多いことを示している。さらに彼らは、捕鯨以前の南大洋のヒゲクジラ類個体群が年間4億3000万トンのナンキョクオキアミ(Euphausia superba)を消費していたと算出した。これは、ヒゲクジラ類が、より大きな個体群の下で現在とは大きく異なる生態系を支え得るだけの栄養塩再循環を促進できることを示唆している。

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