Nature ハイライト 宇宙:3つになった冥王星の衛星 2006年2月23日 Nature 439, 7079 冥王星は太陽系で最も遠方にある惑星で、冥王星自体の大きさの半分ほどもあるカロンという衛星が1つあることが、30年近く前からわかっていた。冥王星にはほかにもっと小さな衛星があるかもしれないと考える研究者はいたものの、地球からこれほど遠いところでそれを見つけ出すのはとてもむずかしいとされてきた。 だが今回初めて、そのような衛星が2個見つかった。H Weaverたちは、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した画像の中にこれらを発見したと報告している。P1、P2と名づけられた新発見の衛星2個は、カロンと比べるととても小さい。正確な大きさの測定はむずかしいが、その理由は、衛星の反射率がわからなければ、画像の光度から大きさを計算できないからだ。しかし適当と思われる反射率を使って計算すると、カロンの直径が1200 キロメートルであるのに対して、これら2つの直径は、48〜165 キロメートルの間となる。Weaverたちはさらに、冥王星の周りをP1が38日で、P2が25日で1周するものと推算している。 これらの衛星はどこからやってきたのだろうか。カロンは、地球を回る月と同様に、母惑星に別の天体が衝突したときに生じた残骸からできたと考えられている。2番目の関連論文でA Sternたちは、冥王星に起きたこの衝突で飛び出した少量の物質が、自己の重力で寄り集まってP1とP2ができたのではないかと考えている。 2006年2月23日号の Nature ハイライト 宇宙:3つになった冥王星の衛星 考古:もっと急速だった現生人類のヨーロッパ移住 量子情報:今、見ちゃいけない 生態:生物多様性を増大させる寄生植物 進化:脊椎動物の進化再訪 − ヒトに近いのはナメクジウオよりホヤ 海洋生物学:日本のウナギの産卵場所がわかった 目次へ戻る