Nature ハイライト 海洋生物学:日本のウナギの産卵場所がわかった 2006年2月23日 Nature 439, 7079 日本産のウナギ(Anguilla japonica)はいったいどこに行って産卵するのだろうか。この謎が解決された。しかもウナギは、ほぼ完璧な場所を選んで産卵しているらしい。 塚本勝巳は、ウナギの産卵場所がフィリピン海のマリアナ諸島西側の海山付近にあることを突き止め、ウナギが子孫を残すために淡水河川から数千キロメートルも旅することを明らかにした。産卵域は狭く、ウナギの幼生である小さくて透明なレプトケファルス(leptocephalus)は北向きに流れる黒潮によって生息域である東アジアへと運ばれ、そこで成長することができる。生息域が狭いので、南へと流れるミンダナオ海流に乗って間違った方向へ運ばれることもない。 産卵場所を正確に特定するために、塚本はこの海域で集めた孵化直後のレプトケファルスについて遺伝学的な分析を行った。この産卵域の狭さは、サルガッソー海にある欧州やアメリカのウナギのはるかに広い産卵域とは対照的である。 2006年2月23日号の Nature ハイライト 宇宙:3つになった冥王星の衛星 考古:もっと急速だった現生人類のヨーロッパ移住 量子情報:今、見ちゃいけない 生態:生物多様性を増大させる寄生植物 進化:脊椎動物の進化再訪 − ヒトに近いのはナメクジウオよりホヤ 海洋生物学:日本のウナギの産卵場所がわかった 目次へ戻る