放射性炭素年代測定法に関する最近の進展を契機として、現生人類がヨーロッパに初めて住み着いた年代数値について見直す動きが出てきた。 P Mellarsは、より高純度に試料を精製する濾過法と、深海堆積物の試料を基にした放射性炭素年代値の、さらに精度の高い較正(暦年代との「ずれ」の修正)について述べている。そして、これらの技術革新によって、現生人類がヨーロッパに初めて到達したと考えられている3万〜4万年前の重要な時期に関する放射性炭素測定年代値を、どう再評価できるかを概説している。 こうして得られた新しい測定年代値を従来の研究成果に当てはめてみると、現生人類はこれまで考えられていたよりも急速にヨーロッパに入り込んだようで、現生人類がネアンデルタール人と共存していた期間は従来の想定よりも短かったことになる。ここ40年の間に報告されてきた放射性炭素測定年代値の多くは、試料の本当の年代よりも新しく見積もられていたようだと、Mellarsは付け加えている。