Nature ハイライト 神経:活動中のシナプスを見る 2006年4月13日 Nature 440, 7086 ニューロン間の接合部であるシナプスの働きに関する基本的な問題に対応できる、巧妙な顕微鏡法が今週号に紹介されている。 神経科学では、小胞、つまり膜で包まれた神経伝達物質の極小パッケージがシナプス部で放出された後、小胞の膜が細胞膜に吸収されてしまうことが知られている。この過程の詳細は、小胞が直径約40 nmとあまりに小さいため通常の蛍光顕微鏡では解像できず、よくわかっていなかった。 R Jahnたちは、STED(stimulated emission depletion)法とよばれる優れた新技術を採用した。この方法では、蛍光を標本上の非常に小さなスポットだけに限定し、従来よりはるかに鮮明な顕微鏡画像を得ることができる。この方法で培養ニューロンを調べたところ、小胞膜のいくつかの成分は、小胞膜の融合・回収の間、ずっとひとまとまりのままでいることがわかった。Jahnたちは、この技術はほかのもっと小さな細胞構造を観察するのにも使えるだろうと述べている。 2006年4月13日号の Nature ハイライト 進化:ヒトのアフリカ起源に迫る新化石の発見 医学:抗マラリア薬生産を生物工学が後押し? 化学:発熱しない白色光 神経:活動中のシナプスを見る 生態:「予想外の」微生物同盟が見つかった 量子物理:落ち着かない気体 目次へ戻る