Nature ハイライト

微生物学:あなたなしでは生きていけない

Nature 441, 7091

深海底の熱水噴出孔に生息するチューブワーム(ハオリムシ)と、共生する細菌との持ちつ持たれつの関係が、顕微鏡レベルで調べられた。このチューブワームの成体は一緒に暮らす共生細菌に頼って栄養を得ているが、幼生の段階では体内に共生細菌がいない。M Brightたちは、病原性細菌の感染にも似たユニークな共生細菌獲得モデルを報告している。  従来の見方では、共生細菌は熱水孔に棲むチューブワームの口から入って体内に定着・増殖し、やがて栄養体とよばれる構造を作ると考えられてきた。しかし、チューブワームの暮らす深海底は極度の高圧状態にあり、そのため生理的特性を調べるのが特にむずかしい。今回Brightたちは顕微鏡を使って組織試料を調べ、共生細菌は実際にはチューブワームの皮膚に能動的に感染し、さらに宿主組織に大規模なアポトーシスを起こさせて幼若な宿主体内に入り込み、定着することを明らかにした。しかも、栄養体は腸管由来の構造からではなく、皮膚を作る組織から生じることもわかった。  この成果は、さまざまな共生関係の進化に関する定説の再検討につながるかもしれないとBrightたちは考えている。

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