Nature ハイライト 医学:病院内の殺し屋と闘うまったく新しい抗生物質 2006年5月18日 Nature 441, 7091 増加しつつある抗生物質耐性に対抗できる、久しく待ち望まれてきた抗生物質が自然界から見つかった。J Wangたちが発見したこの強力な抗生物質は、多くのグラム陽性菌を殺す力をもち、その中には病院にとって最大級の脅威であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が含まれている。 Wangたちは、25万の天然物抽出物について、細胞レベルでの分析と生化学的分析によるスクリーニングを行い、南アフリカの土壌試料から得られた放線菌Streptomyces platensisの株の1つが作る低分子化合物、プラテンシマイシンを見つけ出した。 プラテンシマイシンはこれまで知られていなかった型の抗生物質で、脂質の構成成分である脂肪酸の合成にかかわる酵素を阻害する。このように脂肪酸合成を標的とするものは、既存の抗生物質には存在しない。この抗生物質によってマウスの黄色ブドウ球菌感染が一掃され、しかも有害な副作用は認められなかった。 2006年5月18日号の Nature ハイライト 医学:病院内の殺し屋と闘うまったく新しい抗生物質 宇宙:中規模質量の3つの惑星を従えた星 遺伝:1番染色体解読完了でヒト染色体セットが完成 宇宙:再電離が抑えた矮小銀河形成 進化:「生きた化石」が示す最初の被子植物の手がかり 工学:LEDの波長を短くするには 微生物学:あなたなしでは生きていけない 目次へ戻る