Nature ハイライト 脳:ギャンブルするならドーパミン 2006年8月31日 Nature 442, 7106 脳内神経伝達物質のドーパミンが、ヒトの食欲や性欲だけでなく、薬物依存やギャンブル依存にも関連する「快楽分子」であることは以前から知られている。しかし、ヒトにおけるドーパミンの機能は正確にはわかっておらず、理論はほとんどすべて動物実験に基づいている。Pessiglioneたちは、健常な被験者にドーパミンシグナル伝達系に影響を与える薬物を投与した後、現金を賭けたギャンブルを行わせ、その最中に画像化法により被験者の脳を調べた。ドーパミンの働きが増強された被験者は、抑制された被験者よりも優れたギャンブラーになった。ドーパミンのレベルを薬物によって上下させた際に、報酬関連学習とそれに伴う線条体活動に変化が生じることが画像から明らかになり、ドーパミンがその後の意思決定を生み出すための報酬情報の統合に重大な役割を果たしていることが確認された。 2006年8月31日号の Nature ハイライト 遺伝:植物が子孫に伝えるもの 生物物理:鞭毛回転の秘密に迫る 免疫:マスト細胞と移植拒絶 細胞:適時に適所へ送る方法 宇宙:超新星とX線フラッシュの関係 分光学:NMRでスナップショット 地球:拡大する海嶺下のマグマだまりを見る 脳:ギャンブルするならドーパミン 細胞:映画はもう見た? 目次へ戻る