Nature ハイライト 遺伝:植物が子孫に伝えるもの 2006年8月31日 Nature 442, 7106 植物は明るすぎたり暗すぎたり、また暑すぎたり寒すぎたりといった不快な状況から逃げ出すことができない。その代わりに、ストレスに対してさまざまな生理的応答をすることで、耐性の度合いを変化させている。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では、病原体と同じような働きをする化学物質、あるいは紫外線といったストレスにさらされると、ストレスを受けた個体だけでなく、意外なことに直接ストレスを受けないその子孫でも、数世代にわたって変化がみられることがわかった。シロイヌナズナはおそらく、まだ知られていないエピジェネティックな仕組みを使って、受けたストレスを「覚える」のだろう。この現象には、獲得形質が染色体を介して遺伝するという、ラマルクの崩れ去った学説を思わせるところが、ほんのわずかながらありそうだ。 2006年8月31日号の Nature ハイライト 遺伝:植物が子孫に伝えるもの 生物物理:鞭毛回転の秘密に迫る 免疫:マスト細胞と移植拒絶 細胞:適時に適所へ送る方法 宇宙:超新星とX線フラッシュの関係 分光学:NMRでスナップショット 地球:拡大する海嶺下のマグマだまりを見る 脳:ギャンブルするならドーパミン 細胞:映画はもう見た? 目次へ戻る