Nature ハイライト
Cover Story:分裂した細胞:中心小体集合の分子基盤
Nature 444, 7119
中心小体は、複製に不可欠な棒状の細胞小器官で、ほとんどの真核細胞と動物細胞に存在していて特徴的な9回対称構造をもつが、その複製様式はいまだにわかっていない。成熟した中心小体の構造は詳細に研究されているが、その集合の仕方はほとんど知られていない。また、中心小体に含まれるタンパク質は数多く同定されているが、それらの機能もはっきりしていない。今回、電子線トモグラフィを用いて、線虫での中心小体の形成のようすが微細な構造まで明らかにされた。中心小体の集合は中央の管の形成から始まり、その伸長を経て、最後にシングレット微小管が管の周りに集合して完了する。中心小体の複製経路では、SPD-2、ZYG-1、SASタンパク質が順に作用すると考えられる。これらのタンパク質の一部はヒトでも保存されていることから、中心小体をもつほかの生物でも線虫と同じような機構が働いていると考えられる。表紙の中央の画像は、娘中心小体の中央の管の周辺へシングレット微小管が集まっていくようすを示している。
2006年11月30日号の Nature ハイライト
ニュース:細胞生物学をポッドキャストで
神経:電気刺激で学習強化
医学:赤ワインの中に
細胞:細菌のタンパク質注入装置
医学:筋ジストロフィーの幹細胞治療
遺伝:スプライシングの選択肢
考古学:古代ギリシャの天文計算機
統計学:都市の盛衰を描き出す「順位時計」
腫瘍:がんと細胞老化
細胞:ノイズを感知