Nature ハイライト 脳:場所の知覚 2007年3月8日 Nature 446, 7132 動物が道を見つける能力は、位置・方向・距離についての情報を統合する脳の能力によっている。最近の研究では、脳の嗅内皮質にある「グリッド細胞」が、位置を計算する機構の一要素であると指摘されているが、空間定位や空間記憶形成を担う神経ネットワークの計算機序はわかっていない。今回、変化する環境の中で餌を探し当てる課題をラットに行わせた実験から、海馬では空間記憶の表現に2種類のコードがあることがわかった。海馬の「場所細胞」での統計的に無関係な表現の形成(「再マッピング」)には、嗅内皮質中の対応する細胞集団マップの整合的な移動が常に先行して起こっていた。これによって動物は、異なる環境に遭遇しても、同一の変換機構によって自身の空間位置を表現し更新することが可能になる。 2007年3月8日号の Nature ハイライト 創薬:苦い薬 遺伝:癌遺伝子の総ざらい 宇宙:輝かしくも遠い過去 宇宙:火星にあまねく広がる水 物理:2つの近藤効果 材料:シリコンの微小構造体 細胞:よりシンプルになった皮膚再生モデル 脳:場所の知覚 植物:表皮が植物のサイズを決める 目次へ戻る