Nature ハイライト 遺伝:癌遺伝子の総ざらい 2007年3月8日 Nature 446, 7132 癌の原因となる遺伝子については、マッピングやバイオアッセイといった既に確立した技術や生物学的に可能性の高い候補を探すという方法により、これまでに350個以上が見つかっている。ヒトのゲノム配列が使えるようになった今、大規模な塩基配列解読研究によって、さらに多くの癌遺伝子候補が見つかる可能性がある。プロテインキナーゼは多くの調節経路で重要な役割を担っていて、その機能異常は腫瘍形成のきっかけとなることが多い。そこで、200種を超える癌から、それに関連する518のキナーゼ試料を選んで塩基配列を解読するという研究が行われ、腫瘍形成に関係のある、これまで知られていなかった変異が1000以上明らかになった。一部の変異は癌の形成に寄与せず、ただそこに居るだけのいわば「乗客」だが、100以上は癌の発生の原因となる「ドライバー」的変異である。このような遺伝子ファミリー研究は、癌の原因となる異常を見つけ出すだけでなく、分子レベルの診断法や治療法の新しい標的の発見にもつながるだろう。 2007年3月8日号の Nature ハイライト 創薬:苦い薬 遺伝:癌遺伝子の総ざらい 宇宙:輝かしくも遠い過去 宇宙:火星にあまねく広がる水 物理:2つの近藤効果 材料:シリコンの微小構造体 細胞:よりシンプルになった皮膚再生モデル 脳:場所の知覚 植物:表皮が植物のサイズを決める 目次へ戻る