Nature ハイライト

Cover Story:超らせんの蓄積:抗腫瘍薬であるトポイソメラーゼ阻害剤はDNA超らせんの解消を遅らせる

Nature 448, 7150

トポイソメラーゼは、DNAに生じるひずみの一種である超らせんを解消する働きをする酵素である。トポイソメラーゼの阻害剤は抗癌剤として重要で、トポイソメラーゼとDNAとが作る共有結合性複合体を安定化することによって作用し、安定化した複合体はDNA複製装置の進行の障害となると考えられている。だが、トポイソメラーゼを標的とする薬剤の有効性が生じる仕組みはほとんどわかっていない。今回、主に卵巣癌や小細胞肺癌の治療に使われるトポテカンとトポイソメラーゼIB-DNA複合体との相互作用を単一分子操作法で調べることにより、反応過程がもっと詳しく解明された。表紙にあるように、トポテカン(赤で示す)の働きにより、正のDNA超らせんが蓄積する。このようなDNAの巻き過ぎはDNAポリメラーゼの進行を妨げ、複製フォークの停止や崩壊の要因となり、最終的に細胞死につながる可能性がある (Letter p.213)。表紙イラスト:TU Delft/Tremani。

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